柔軟なアイデアと哲学で未知の方向へ突き進む文具店「堀文」

小売・卸売

ちょっと変わった文房具屋さんがあるらしい」。

そんな噂を聞きつけて、APU(立命館アジア太平洋大学)1回生の横井雪菜がお邪魔したのは「堀文」さんです。

創業1946年、今年で74年目を迎える歴史ある企業で、文房具販売だけでなく幅広い事業展開をしています。一体どんな社長が、どんなふうに経営している会社なのでしょうか?堀文の社長、堀雄太朗さんにお話を伺いました。

 

堀社長が提案する“タスクで測る”働き方

横井:堀さん、本日はよろしくお願いいたします!まずは「堀文」さんがどんな会社なのかを教えてください。

 

堀社長:「堀文」は別府市亀川にある、20人程が働いている会社です。都市から地方進出する企業に対してのオフィスのトータルコーディネートや、文房具の店舗販売などを行っています。私は去年の10月に3代目の社長に就任しました。

横井:社長になってから変わったことはありますか?

堀社長:そうですね。社長になってからは役割に合った考え方をしないといけないと思うようになり、色々なことを考え勉強する時間を作るようになりました。

例えばこれからの社会の流れを考えたときに、就職以外にも個人事業主や副業という選択肢が一般的になってくると思います。私は「タスクで測る」という文化が会社に取り入れられたら良いのではないか、と考えています。

横井:「タスクで測る」とはどういうことですか?

 

堀社長:例えば、今多くの会社で朝礼していると思うのですが、その朝礼や会議に出席した人にはお給料を出すんです。そうしたら朝礼は選択制にできるし、会議に出席すればお給料がもらえるからモチベーションが上がりますよね。他にも出社時間なども自由で、一日に自分がやるべきタスクが終わったら早めに退社してもいいというようにしたいです。社員一人ひとりの仕事に対する姿勢やスピードが違う中で、このような柔軟な取り組みができれば、社員と会社の双方にとって良いなと思っています。

横井:「タスクで測る」、とても現代に合っていますね。その考え方を持った会社が増えたら良いなと思いました。ですが、日本の伝統的な会社の中でその考え方“文化”のようなものを作るのはとても大変なのではないでしょうか?

堀社長:その通り、大変だと思います。そのような文化を会社の中に作るために、まずは会社の利益を上げる必要があります。利益は会社の結果であり、可視化できる成果だからです。その後に文化作りの環境、そして総合的に長い時間がかかって文化が出来るのかな、こんな流れで文化を作っていきたいなと感じています。

横井:とても参考になる話でした。堀さんは「不易流行」(いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも取り入れていくこと)を会社の中で実践されているのだな、と感じました。

堀社長:その他にも最近はSDGsについて本などを読んで勉強しています。「堀文」がある亀川地域や、地域にいる子供たちのことを考え、どのようにしたら堀文として地域活性化に貢献できるのか、日々考えています。

 

横井:「ひとがよろこび、自らもよろこぶ。この仕事の追及に幸せがある」という会社の理念からも、堀さんのお話からも地域愛を感じ取れて、とても素敵な会社だなと思いました。

 

新旧問わず「良いと実感できるもの」を取り入れ変化する

横井:では次の質問なのですが、会社で何かユニークな活動をしていたら教えてください。先ほど話の中で仰っていた朝礼ではどんなことをされているんですか?

 

堀社長:まず堀文のオフィスの壁には、肝五訓と呼ばれるものと経営理念が書かれた紙が貼ってあるんですが、そのふたつを朝礼時に、みんな揃って大声で読み上げています。

子供の頃からよく聞いていた大声は、これだったんだと気付きましたね(笑)。「朝礼で大声出さないといけない」と聞くと、ちょっと時代遅れというか引いてしまいますよね?僕も最初は「え?大声でこれを読むの??」ってなりました。けれど朝から大声を出すと、のども通って気分もいいんですよ。意外と理にかなった良い取り組みだと考えています。

横井:私もいつか堀文さんの朝礼に参加してみたいです(笑)。

他に「堀文」さんのホームページで「ホリブン新聞」というものを拝見したのですが、どの号も内容が濃く楽しかったです!

 

堀社長:ありがとうございます。新聞は少しでも「堀文」について知ってもらえたらという想いで、会社のバックヤードやストーリーを意識しながら作成しています。ホームページで掲載する以外にも書類とともにお客様へ配布し、少しでも堀文という会社を印象付けられたら嬉しいです。

 

横井:そのような思いが込められていたんですね。ホームページも新聞も見やすい、分かりやすいだけでなく楽しめるということは、とても堀文さんが工夫なされてるんだと思います。

 

学生・社員お互いに学びがあるインターンシップ制度

横井:話は変わりますが、堀さんは去年社長に就任されたと伺ったのですが、就任前は何をされていたんですか?

堀社長:私は東京で4年間、営業として卸や設計業などをする会社に勤めていました。当時その会社はスタートアップの段階。仲間と共に仕事をする中で様々な経験をし、知識を得られました。その中で学んだことは今の「堀文」にも生かされています。

横井:そうなんですね!自分自身の色々な経験から学んだことが、今の「堀文」さんにつながっているのはとても素敵だなと思いました。

私はいま大学生で、将来就職活動をするかもしれないなという時期なのですが、堀文さんではインターンシップなどは行っているのでしょうか?

今回の堀さんのお話でもおっしゃっていた通り、社会に出る前に仕事を体験できるインターンシップは、大学生にとってとても良い機会だと思っているのですが……。

 

堀社長:堀文では3年前からインターンシップ制度を取り入れています。去年はAPUのAIESEC(企業と学生を繋げる学生団体)からインドネシアの学生がインターンシップとして来ました。

横井:3年前から始まったんですね!インターンシップでは具体的にどんなことをするのですか?

堀社長:インターンでは「感動して帰ってもらう」ということを軸としています。実は他に、高校生を対象とした職業体験のような制度を設けています。大切にしているのは「成功体験」を作るということです。学生には「できないことが、できるようになる」という体験を通じて、自信をつけて帰ってほしい、自分が何かをできたことに感動して帰ってほしいと考えています。この取り組みや考え方は他の会社で行われていて素敵な考え方だなと思い、取り入れたという経緯もあるんです。インターン制度は、自分たちが学ぶ機会でもありますね。

横井:このような取り組みは学生にとって、大変価値のある体験になると思います。

最後の質問なのですが、「堀文」さんの就活情報を教えていただきたいです。

 

堀社長:堀文ではインターンや会社の見学会などを随時行っています。なので、もし気になるという方がいらっしゃったらぜひ一度、お問い合せしてみてください。最初にも言ったように、これからはただ雇用する・されるという関係だけではなくなると思います。どんな形であれつながって、新しいことにも挑戦していきたいですね。

横井:今回は「堀文」さんの取材ができて、堀さんの地域愛や会社に対する姿勢をお聞きすることができ、とても興味深かったです!

本当にありがとうございました!!

堀社長:こちらこそありがとうございました!

 

文具店「堀文」は多種多様な文房具を取り扱っています。親切丁寧な接客をしてくれるので、迷ったときには相談したり、おすすめを聞いたりしてみましょう。

 

今のおすすめは、小さなポーチ。作りが丈夫で財布として利用できるほか、ちょっとした小物を入れるにも重宝するそうです。

 

ペンの種類もたくさん!「ぜひいっぱい試し書きして、自分に合うのを探してください」と店員さんがにっこり微笑んでくれました。

 

まとめ

地域に寄り添う“堀文”は、今も昔もお客様のことを一番に考え、新しいことにも挑戦するという、これからの動向にも目が離せない会社でした。


(写真左は会長の堀高志さん)

 

会社データ

取材先:株式会社堀文
https://www.horibun.com/

【本社】

〒874-0022 大分県別府市亀川東町27-22
0977-66-0155

【大分オフィス】

〒870-0022 大分県大分市大手町2丁目4-25
097-538-4130

 

取材・編集・テキスト


横井雪菜(立命館アジア太平洋大学1回生)

 

※「別府でJOB JOB」に込めた意味

「JOB」は、仕事、職、任務、役目などという意味があります。そして、別府といえば真っ先にイメージするのが温泉。温泉につかると「ジャブジャブ」と音がしますが、別府のワークスタイルを温泉のように学生(若者)に浴びてもらいたい、という意味を込めています。

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