隠れた別府を体感できる 「山田別荘」が外国人にウケる理由
別府のワクワク企業を大発見!地元企業の仕事内容、経営者・社員の魅力、就職情報を学生目線でご紹介します。さあ、別府で働こう!
別府に暮らす学生目線で企業を訪問し、仕事内容ややりがいなど、知られざる魅力を発掘する企画「別府でJOBJOB」
「別府と言えば…?」ですぐ思い浮かんだのは観光・旅館業でした。一口に観光・旅行業と言っても、誰がどのように働いているのか、ある程度わかるけど、わからないことの方が多い。
私たちは別府に住んでいるので、旅館などを利用しません。だから近くに存在するのに、その実態を知らないんです。
そこで、別府の主要産業である観光・旅館業について「取材してみよう!」と思い立ちました。
第4回目の取材先は、別府で長い間旅館業をされている「山田別荘」さんです!
ホンネで語る旅館業の裏側
「山田別荘」さんご紹介
昭和5年に先々代の山田英三が、保養別荘「静寿堂」として建造した山田別荘。
戦後旅館に衣更えをし、約600坪の敷地には、雁行形に伸びる主屋、2つの内風呂と露天風呂。
そして玄関横の擬洋風ロビーなど、全館随所に昭和初期の面影が横溢しています。
どこか懐かしくて暖かい。
それが山田別荘です。
山田別荘HPより抜粋 http://yamadabessou.jp/kannai/
織田「山田別荘さんの取り組みを教えてください!」
女将さん「皆さんは旅館業に“常に忙しい・業務に追われて大変”というイメージを持たれると思いますが、実際には違いますね。ウチは朝と夕方は流石に忙しいですが、それ以外は基本的にはゆったりと働いていますよ!」
↑山田別荘・女将の山田 るみ さん
織田「なるほど…! 想像したイメージと違うので驚きました。今、どんな人に山田別荘で働いてほしいですか?」
女将さん「やはり海外からのお客様が中心なので、多少は英語を話せる人がいいですね。先程も言ったように旅館業といえども休みはしっかり週1日ありますし、深夜や早朝勤務もないので、楽しく働いてもらえると思いますよ」。
カンボジアから日本に留学し、APU(立命館アジア太平洋大学)卒業後、昨春「山田別荘」に就職したナビンさんにもお話を伺いました。
竹村「就職の際、大変だった事はありますか?」
ナビンさん「就職する前は、別府に来て色々バイトを経験しましたが、やはり言葉の壁で苦労しました。
でも別府の人は優しい!山田別荘にはアルバイトから入って、漠然と都会ではなく別府で働きたいという思いがあって・・・女将さんにそのことを話したら、『じゃあうちで働いてみたら?!』って言われてすごく嬉しくて・・・。女将さんがお母さんのように優しくて、もともと人と触れ合うのも好きだし、ここで働いていて楽しいです!!」
↑山田別荘で働き始めて1年目のナビンさん
織田「私も別府市出身ではないんですけど、別府に住んでみて、別府が好きになるって感覚、よくわかります!で、僕はもうすぐ社会人になるんですが、日々の仕事で、特に大変だと思うことはありますか?」
ナビンさん「語学面で接客が不安ですが、お客様が優しいですし、日々の暮らしも地域の方が声を掛けてくれるので安心しています!
また、英語での対応ができるので海外のお客様への接客には自信がありますし、女将さんも評価してくれるので、頑張ろうと思えます!」
↑ナビンさんに山田別荘さんを案内してもらいましたが、とてもイキイキとしていて、誇りをもってお仕事している様子がわかりました
留学生のナビンさんならではの視点で、都会にはない別府の魅力を教わりました。
都会にはない雰囲気や別府ならではの魅力が、別府で就職するメリットになりそうです。
別府の持つ魅力を活かす!!
海外の方にも広がっている別府の温泉♨イメージは、さらに拡大しつつあります。
「山田別荘」にもお客様を歓迎する目玉のひとつとして、素敵な温泉があります。
↑素朴で野趣豊かな露天風呂は、旅行客の人気筆頭!
織田「現在、山田別荘さんでは、インバウンド(海外からのお客さん)がメインになっているそうですが、日本人や海外の方へ、何かアピールしている事はあるのですか?」
女将さん「昔は日本人客がメインでした。でも古いとか、すきま風が寒いとか、不満も少なからずあったんです。逆にこの建物を、『可愛い、美しい』と海外の方は感じてくれていたので、ターゲットを海外のお客様に切り替えようと思いました」。
織田「何か変化はありましたか?スタッフの方が、英語などで対応されるので大変になりそうなイメージがありますが…(^^;)」
女将さん「国ごとに文化が違うので、日本の文化を分かってもらうのに、どうしたら良いか?と言う所は、工夫して伝えなければならないと思っています。ですから、いろんな方法を試していますよ。
建物を見てもらうと分かるように、昔ながらの日本にあった侘び寂びを体験できるのが特徴です。日本の方には古くて汚いと思われてしまうものが、逆に味になるんですよね。ですので、海外の方がイメージする伝統的な日本を大事にしています!
ウチはあまり大々的に広告などを出していないですが、来てくださったお客様の口コミなどで反響が大きくなって、リピーターも増えて。ありがたいですね」。
別府の街中に、突如別世界のような“和の空間”として山田別荘さんが存在しています。一瞬でその空間に引き込まれる人は多いでしょう。
女将さん「この建物自体、住居空間なので、お客様からも、「お祖父ちゃんの家に来たみたい」と言われる事も、よくあります。そして、家族経営なので、家庭的な部分もあって、子供達が賑やかにしていたり、お客様がとても楽しそうに色んな場所をカメラで撮影したり、お風呂で気持ち良さそうに、歌を歌っているお客様もいらっしゃる。この日常空間と非日常空間が交差する今の状況が私は一番好きなんです。シンプルかつ趣のあるところが、海外やそれ以外の方にも好きになってもらえる点だと思います」。
観光業や旅館業はどこも一緒だと思っていましたが、どうやら違ったようです。古さを残す別府の魅力や地域性などを活かせるのも、経営者や事業主の努力ならではだと、改めて感じました!
温故知新から見えるもの
織田 「海外の方にも来ていただくにあたり “満足してもらいたい”“日本の良さを知ってもらいたい” という気持ちで、サービスなどを追求するのはとても難しいと思います。山田別荘さんは、お客様の声を聴いて何かを新しくしようとか、古い部分を逆手にとって行動された事とかありますか?」
女将さん「私たちの誇り・強みは古い建物や歴史などです。全てを新しくすることも出来ますが、そうすると日本の文化や季節が分かりにくくなってしまいます。
ですので、来ていただいた方に満足してもらうようサービスを徹底し、建物やここに来ていただいた際の価値観を共有してもらいたいですね。
良い点だけでなく不便な点も知ってもらい、それも楽しみながら【日本】という異文化を知る場となればいいな、と思います」。
別府、また日本に住んでいると自分の国の良さはなかなか分からないもの。またそれらを考える機会も、少ないかと思います。
海外の人から見た日本は、私たちのイメージする日本とは少し違う事が多いようです。その中でいかに イメージ通りのモノを提供していくか。それが観光業や旅館業に限らず、あらゆる分野で変化をもたらすためのヒントになるのでは?と思いました!!
まとめ
やはり別府は面白い!まだまだ知らない分野や隠れた企業・人が存在していますね。今回取材させていただいた山田別荘さんでは、「昔ながら」を大事にすることが働く際のやりがいや熱い思いに通じているのではないでしょうか。
女将さんやナビンさんの様に、別府の持つ魅力や、知っているようで知らない観光・旅館業の裏側を知る事が、新たな魅力発見につながると思いました。
業界の裏側はなかなか聞けないことが多く、就職の際にも知っておきたい点でもあります。何か一歩踏み出してチャレンジしたいという学生や、日本の持つ昔ながらの趣ある部分で働きたいという方!「山田別荘」さんなら貴重な経験や、自分自身を見つめ直す機会を得られそうですよ。
会社データ
取材先:山田別荘
住所:別府市北浜3丁目2番18号
Tel 0977-24-2121
Website http://yamadabessou.jp/
取材&編集&テキスト:織田 祐翔 (別府大学文学部史学・文化財学科 4回生)
取材&テキスト:竹村 悠 (別府大学文学部史学・文化財学科 3回生)
※「別府でJOB JOB」に込めた意味
「JOB」は、仕事、職、任務、役目などという意味があります。そして、別府といえば真っ先にイメージするのが温泉。温泉につかると「ジャブジャブ」と音がしますが、別府のワークスタイルを温泉のように学生(若者)に浴びてもらいたい、という意味を込めています。