44年間蓄積された実績とノウハウで魔法のような掃除を続ける「美装管理」
こんな会社が別府にあるなんて!?「別府でJOBJOB」は、学生目線で地元企業の仕事や経営者・社員の魅力、就職情報を探り出し紹介する企画です。さあ別府で働こう!
神社・仏閣などの木部洗い、そして様々なお掃除を続けて40年以上の「美装管理」さん。専門知識とノウハウを生かした確かな仕事は全国的に評価されており、九州のみならず日本各地で清掃を行っています。
今回、取材に訪れたのはAPU(立命館アジア太平洋大学)の青木です。「美装管理」さんの清掃でも特徴的な「木部灰汁(もくぶあく)洗い」を体験してみました!
目次
まるで魔法みたい!木部灰汁洗いを実体験
まずはコチラを見てください!
↑木部洗い前
↑木部洗い後
↑木部洗い前
↑木部洗い後
↑木部洗い前
↑木部洗い後
↑木部洗い前
↑木部洗い後
別府市浜脇にある崇福寺、まるで建て替えたかのように見えるのは、お掃除のチカラです。一体どんな魔法を使ったのでしょうか……?
教えてくれたのは、勤務18年目の楠将治さん。別府出身です。
木部灰汁洗いとは?
楠さん「木部灰汁洗いは、経年で染み付いた木の汚れを落としキレイにするお掃除です。主に神社仏閣、木造建築で行います」。
木部灰汁洗いの手順
1)水で表目のほこりや汚れを流す
2)特別に調合した「A液(苛性ソーダ)」を塗布して灰汁を浮かせる
A液の配合は経験に基づいて行う。木の劣化によって配合を変える(木を傷めないために)。真っ黒な汚れが浮かび上がってくる
3)再び水を流す
※めっちゃ茶色い水が流れてくる 木の色が明らかに変わっておもしろい!
4)乾かす
5)違う液を使ってシミを取る
6)漂白する
7)余分な黒ずみを取り除く
8)乾いたら終了
木の表面を削ることなく伝統手法によって洗っているのは、木を傷つけずに美しさを復活させるため。この技術が「美装管理」の強みです。
汚れが落ちる気持ちよさを体感!
今回は体験版として、こんな内容になりました。
1)A液をハケで塗る 下から上へ。液が垂れるので
2)10分ほど乾かす
3)ナイロンたわしで水をつけながらこする ※木目に沿うのがポイント
4)ぞうきんで拭き取る
汚れが浮き出る→拭き取る→色が変わって驚くほどキレイ!!!!この工程がとても気持ちいいんです。
実際に体験をしてみて、ハケで塗る時も順番や(上から下に塗る)、力加減などたくさん気にすることが多く、初めてだらけでとても楽しかったです!
美装管理のお仕事ってどんな感じ?
「美装管理」のお仕事について楠さんにお話を聞いてみました。
楠さん「私は高校卒業後、他業種で1年勤務してからこちらに就職しました。最初はその道30年以上のベテラン女性がたくさんいて、そのお姉さんたちに技術を教わりました。今は世代交代して、30代くらいが中心です。
この仕事は外の作業だし、冬は寒いし夏は暑いです。でも、色んなところに出張に行って楽しいですよ。珍しい場所では、五島列島とかね」。
青木「やっぱり家もキレイなんですか?」
楠さん「家もめっちゃキレイです!」(にっこり笑顔で)
これまで伝統を守りながら、たくさんの経験を積んでいるからこその技術が目白押しで、驚きの連続でした!
同じ木部灰汁洗いでも「どのような仕上がりにしたいか」はお客様によって異なります。「白っぽくしすぎないで!」など。それぞれの要望に応えていると聞き、細かいところからお客さんとの信頼関係ができあがっているんだなあと実感しました。
別府でも全国でも!確かな信頼を得る「美装管理」の高い技術力
本社にて、代表取締役の髙野浩子さんと、営業部長の宮川聡さんにお話を聞いてみした!
青木「美装管理さんのお仕事内容を教えてください!」
宮川さん「ビルのメンテナンス全般、お掃除です。事務所や病院、温泉などの清掃も行います。新築の家をお客さんに渡す直前に、仕上げの掃除をする仕事も多いですね」。
髙野社長「体験してもらった木部灰汁洗いは、40年以上続く美装管理の柱事業。九州でほぼ唯一ともいえますね。全国各地に出張して、靖国神社の清掃でお礼状をいただいたこともあるんです。達筆すぎてあまり読めませんけど(笑)」。
宮川さん「働いている人は男女半々、別府か大分の人が多いです」。
髙野社長「うち、出戻りもOKなんです。気まずい感じで辞める人はまずないので、戻ってくる方も多いんですよ」。
一度辞めた会社にすんなり戻っても気まずくならないとは、社長やみなさんの人柄のおかげですね!
宮川さん「毎日、温泉掃除もおこなっています。温泉の成分によって、使う薬品が違うんです。でも、お風呂の汚れを見ればどんな成分かはわかりますね」。
さすがプロ!毎日お掃除に行っていることにも驚きました!たくさん温泉がある、別府ならではという感じです。
女性だからこそのきめ細かな配慮と気配りが行き届いた職場
髙野社長「私が10歳の時、父が事業をはじめました。私も中学生くらいからお仕事を手伝っていました。今、44年続いています。大分大学を卒業してからは違う職に就いていたのですが、戻ってきました。社長になって13年です」。
青木「別府で女性社長というのは、旅館の女将など以外では珍しいですよね?」
髙野社長「そうですね、掃除業界では特に。業界の先輩たちには、『女性にできる仕事ではない』とよく言われていました。なのでそれを逆手にとって、女性だからこそ目立つなら、もっと目立つようにしよう!女性だからこそ細かいことにも気づけるし、それを生かそうと考えました」。
↑月刊「セーノ!」で取り上げられたこともある髙野社長
青木「女性ならでは、というと?」
髙野社長「従業員の誕生日には、ケーキをお手紙付きでプレゼント!したり、夫婦間のトラブル仲裁に弁護士を紹介したり」。
宮川さん「本当、社長はとにかく面倒見がよくて、目配り・気配りがすごいんです。従業員と距離が近くて、掃除の現場にもよく顔を出してくれるから、みんなも喜んでいます」。
髙野社長「私の仕事は数字の管理です。それはもちろんしっかり見て、現場はみんなに任せています。それには、人に働いてもらわないと成り立たないんです。だから、人が大事!!」
お客様からのダイレクトな反応と一目でわかる変化が大きな魅力
青木「働いていて、楽しいときややりがいを感じるのはどんな時でしょうか?」
宮川さん「前職も清掃業だったのですが、木部灰汁洗いというのは入社して初めて本格的に見ました。今でも見ていて感動しますね、本当に見違えるように変わるから。
あとは、床のワックスがけが好きです。結果が早いし、目に見えて違います。掃除が終わった後、お客様から感謝の言葉がダイレクトに来るので嬉しいです。逆に大変なことは、個人の家を掃除するときですね。特に物が多い家は気を遣います」。
常にお客さんと隣り合わせのお仕事なんですね。
↑ジャンバーの「biso-kanri」の刺繍。誇らしげに見せて頂きました!
プロ直伝!お掃除のコツとは?
青木「掃除をするときのコツはありますか?」
髙野社長「まずはものを減らすことから!そして毎日ちょとずつ、3分とか5分とか掃除するといいですよ。汚れはこびりつくと大変。ガス台とか換気扇とか。常にキレイにしておけば汚れが目立つから、結果的にすぐ「ちょこっと掃除」するようになりますよ」
これまで大掃除をしたことがない!という髙野さんにびっくり!!自分の家を思い返して、溜めてばかりいる自分を反省します。
宮川さん「水気を残さないことですね。水は透明だから忘れがちだけど、放置しておくと水垢となって落としづらい厄介な汚れになってしまいます。こまめに水気を拭き取るだけで、ずいぶん違いますよ!」
髙野社長「片付いていない状況で“モノを探す時間は人生で一番ムダ”です!片付いているのは、ムダな時間がかからない効率のいい状態なんです。
どうしても片づけられない人は、箱を3つ用意するといいです。それぞれ[いる・いらない・保留]の箱にして、どんどん仕分け、保留に残ったものは3ヶ月くらいしてそのままだったら捨てちゃいましょう。私の家は捨てすぎて捨てるものがないんです。捨てたくてウズウズするわー!」
いつかお掃除講座をやって頂きたい……!
▼「お掃除の仕事」へのイメージを変えたい!
青木「今後の展開や就活情報について教えてください!」
髙野社長「木部灰汁洗いが順調なので、まずは九州内にもっと広めていきたいですね。新卒社員さんを採れる会社・若い子が来てくれる会社にしたい!掃除の仕事は、ズボラな人でもできるんです。作業するうちに慣れてきますよ」。
宮川さん「おそうじのイメージを変えたい!この業界に入って、最初は知ってる人に会いたくないと思ってたんです。でも、やっていくうちに誇りをもてる仕事だと感じるようになりました。
お掃除の番組がテレビでも放送され、掃除の仕事は他の業種と肩を並べる立派なものだという時代になってきたんです」。
仕事に誇りを持てるって、すごいし大事なことなんですね。
まとめ
今回の取材で、働いている方が生き生きと誇りを持って働いている姿は、かっこいい…!!!これまで当たり前のように思っていた綺麗だと思っていた建物や温泉も、こうした方々の想いや仕事があってこそだと学びました。
あと、取材が終わってから、ちょこっと掃除をするようになりました。
会社データ
取材先:株式会社 美装管理
TEL:0977-21-5311
〒874-0906 大分県別府市天満町16-26
http://www.biso-kanri.co.jp/
取材&編集&テキスト
青木 萌映(立命館アジア太平洋大学国際経営学部2回生)
※「別府でJOB JOB」に込めた意味
「JOB」は、仕事、職、任務、役目などという意味があります。そして、別府といえば真っ先にイメージするのが温泉。温泉につかると「ジャブジャブ」と音がしますが、別府のワークスタイルを温泉のように学生(若者)に浴びてもらいたい、という意味を込めています。