縁の下の力持ち!舞台設営「九州舞台総合美術」の仕事現場でインターンして実感した本物のプロの働き方
こんな会社が別府にあるなんて!?「別府でJOBJOB」は、学生目線で地元企業の仕事や経営者・社員の魅力、就職情報を探り出し紹介する企画です。さあ別府で働こう!
第11回目の「別府でJOBJOB」は、ちょっと趣向を変えて「1日インターン体験」の様子をリポート!インターン先としてご協力いただいたのは「九州舞台総合美術」さんです。
「九州舞台総合美術」とは
イベントや発表会、コンサートやテレビ撮影などなど、あらゆる舞台の音・光・舞台美術を担当している会社です。別府のみならず、九州各地のイベントで活躍しています。
火の海まつり真っ最中の8月28日(土)。翌日のフラダンスとウクレレの発表会を控え、リハーサルと舞台設営が行われる別府市公会堂で1日インターン体験がスタート!
体験するのはAPU(立命館アジア太平洋大学)の2回生、福田和真さんです。
全身黒づくめの出で立ちで登場!気合十分の様子!!
用意した手袋を装着し、作業が始まりました。
照明設置
まずは照明を舞台に運び、照明の設置を行います。
ずっしりと重くいかつい照明を天井から降りてきたバーに固定します。気を抜いたら事故に繋がってしまう大事な作業です。
会場は冷房が効いているものの、照明の熱でむわんとした暑さ。柄や模様を出すための板を取り付けたり、色を変える板を取り付けたり。
設営中は、常に業界用語が飛び交っています。例えば照明の色。青とひとくちにいってもたくさんの種類があるため、色はすべて番号で呼ばれるんだそうです。日本の色は約80色。海外だと100種類以上は軽く超えると言います。
すべてはこの設計図通りに設置していきます。素人が見てもさっぱり意味がわかりません。
照明器具の設置が終わったら、次は客席の背後にあるオペレーション室で照明のプログラムを設定していきます。
ずらり並んだボタン!
普段はなかなか入れない場所で見学です。
再び舞台に戻って照明の調整。こんな高い脚立にのぼって、常に危険と隣り合わせの作業がたくさんあります。
こちらは夜空の星を作っている風景。細い線の先が光ります。単純に並べるのではなく、自然な星空に見えるように長さや間隔の調整が必要なので、センスが問われる仕事です。
完成した星空がこちら!夜の情景を表すフラダンスで、とても印象的な光を灯すことでしょう。
こちらは、照明のもととなる配線室。
裏側は……コード・コード・コードの海!うねうねする大量のコードをアレコレ変更し、調整しています。こちらも普段は足を踏み入れることのない部屋ですね!
舞台作成
舞台の上に、さらに少し高くなった舞台を設置。まずは「うま」と呼ばれる舞台の脚を置き、その上に台を置いていきます。
かなりの重量!
危なくないように釘で固定します。
……と、写真はここまで。公会堂の舞台設営後は、台風のため中止になってしまったイベントの撤収作業にまわりました。
なんだかんだで、午後10時過ぎまで仕事をした福田さん。お疲れ様でした!
1日インターンに参加した感想
後日、実際に働いた感想を福田さんにインタビューしてみました!
――今回はなぜ九州舞台総合美術さんの1日インターンへ参加しようと思ったのはなぜですか?
ステージパフォーマンスやイベントなど、ショービジネスに興味があり、参加しました。脚本を書いたりプロモーションの仕事をさせていただいたりする機会もあるので、今後かならず自分の糧になるだろうと思って参加しました。
――インターン前と後で、この仕事への印象は変わりましたか?
そうですね。実際インターンをする前は、舞台の設営などはもっと“荒い”イメージでした。マニュアル通り、プラモデルみたいに決まったものを淡々と作るだけというイメージでしたね。でもまったく違って、その場のアレンジやこだわりがしっかりとあってプロフェッショナルな仕事とはこういうものか!というものを感じました。
「九州舞台総合美術」のスタッフさんたちはみな、豊富な知識や経験、誇りを持って仕事をしていると感じました。
――どんな点で、こだわりを感じたんでしょうか?
こだわりっていうのは、手間の積み重ねだと思っています。例えば、“丸を描くこと”を求められれば、フリーハンドで丸を描いて報酬をもらえばいいの話ですよね。でも「九州舞台総合芸術」さんのように仕事に対する想いとこだわりがあれば、持てる最高の技術、様々な高価な道具や時間を使ってプロの仕事をします。円を描くなら、コンパスを使うといったように。
――なるほど!今日はどんな日でしたか?
プロの仕事を間近で見て触れることができた1日です。プロの仕事を実際に感じ、「九州舞台総合美術」さんのような想いのある方と一緒に仕事ができればもっと面白くなるのではないかなって思いました。
豊富な経験と知識、そして熱い想いをもって働く姿に、福田さんは大きな刺激と感動を受けたようですね!
主催者の思いを形にする「九州舞台総合美術」
発表会では内容に合わせて花を出したり、夕暮れや夜の情景を表したりします。コンサートでは照明が動いたり映像を映したりという演出もあります。他にもテレビだったり演劇だったりいろいろ。
主催者の思いを形にするために照明や音だけなく山や木などの舞台美術を作ったり描いたりすることもあるそうです。
「すべては段取りで決まる」というのは、代表の中村忠孝さん。何を誰に見せるか、どんなことを伝えるか、それを聞いて計画を立て準備をして本番に臨む。その段取りが何よりも大切だそうです。
外のイベントは灼熱から極寒までとにかく過酷。「九州舞台総合美術」さんは少数精鋭の集団であらゆることをやるので、一人の負担が大きいと言います。
実家が舞台照明の仕事をしていたことからこの業界に入ったという中村さん。以前は東京で映画・ドラマ・バラエティ番組など映像照明の仕事にかかわっていました。週400時間を超える激務の末、別府に戻り、現在の仕事をしています。
業種的に拘束時間も長く忙しいため、なかなか人が定着しないのがこの業界。しかしこの仕事の魅力は、例えば舞台の照明などがうまくいったとき「俺の照明スゴイだろ!!!!」と自分に酔えるところだと言います。
「要はね、みんなナルシストなんだよな。俺がやってやった、どうだ!みたいな。
この仕事は手作業だし、高所作業や電気を使うなど危ない作業も多い。だから最初はどうしてもたくさん怒られるんだよね。それでみんな“酔う感覚”を味わう前に去ってしまう。
僕たちはキレイに片づけて帰るまでを計算して遂行するのが仕事。仕事後のビールは本当にうまいよ!」
とやりがいを語っていただきました。
「九州舞台総合美術」はインターン大歓迎!興味のある人は連絡してみましょう!
会社データ
取材先:有限会社 九州舞台総合美術
●本社
〒874-0820 大分県別府市原町10-17
TEL 0977-22-8022
FAX 0977-26-5315
http://www.kyubu.jp/
E-mail:info@kyubu.jp
●別府市公会堂舞台事務所
〒874-0908 別府市上田の湯町6番37号 3F
TEL・FAX 0977-21-0894
インターンシップ体験取材:福田 和真(立命館アジア太平洋大学2回生)
※「別府でJOB JOB」に込めた意味
「JOB」は、仕事、職、任務、役目などという意味があります。そして、別府といえば真っ先にイメージするのが温泉。温泉につかると「ジャブジャブ」と音がしますが、別府のワークスタイルを温泉のように学生(若者)に浴びてもらいたい、という意味を込めています。